白菜の怪異

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ある日、大学に行こうとしてアパートのドアを開けたら、白菜が置いてあった。しかもカット物ではなく、1本丸々だ。
不動産屋には「とにかく安い物件を」とお願いしたこともあり、多少の怪異は我慢するつもりだが、白菜は予想外だ。半分は漬物にしてようやく食べ終わったと思ったら、翌日は大根が置かれた。
あまりに奇妙な出来事に担当者に苦情をいうと、実はこの部屋はいわく付きの物件で、前住人は漬物屋になれなくて、自殺した青年だという。
担当者は「きっと成仏できない霊が貴方に漬物を作って欲しいんでしょなあ」とのんきなことを言うので、すぐに部屋を変えてもらった。
おれは念のために、新しい部屋の前住人の職業を聞いた。すると担当者は答えた。
「殺人事件を捜査したくて警察を希望するも、挫折して自殺した青年です。まさか死体が置かれるなんてことは……」
おれは不動産屋を替えることにした。
ホラー
公開:20/07/18 07:55

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