僕の妻

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昼下がりのさびれた喫茶店。
探偵が差し出した報告書を何度も読み返してから、僕は聞いた。
「では、僕の元妻は幸せにやっているということかな?」
「はい。そのようですね」
「娘は?10歳になる娘はどうしてる?」
「今のご主人にとても懐いておられます」
「その、今のご主人という奴は一体どんな?」
「なかなかの人格者のようですね。評判はすこぶる良いです」
探偵は穏やかな口調で、それでいて容赦なく答えた。
「そうか、、」
僕はこの三年もの間、一時的な感情で別れてしまったことをとても後悔していたし、妻も同じ気持ちだと信じていた。
「この調査に間違いは?人違いとか?」
「ございません。私もプロですから」
「そうか」
そこへカランカランとドアが開く音がして、一人の女性が喫茶店に入って来た。
その女性はこちらを見て叫んだ。
「あなた!」
そして僕と探偵は、同時に椅子から立ち上がって叫んだ。
「お前!」
その他
公開:20/07/19 00:17

三日月( アジア地区 )

日本語をこよなく愛する講師です。
オチにこだわる傾向あり。
よって、頂きたいものは笑顔と突っ込みです。
Twitterの4コマ小説に手を加えてこちらへ、ということも多々あります。
そういう意味では、こちらの方が若干デキがいいのかも知れません。
どうでもいい比較ですが。

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