ギャングの青年

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「なぜ彼を殺した!」
刑事は青年の胸ぐらを掴んで引き寄せ、糾問した。
飛んできた唾が顔にかかって、青年はうざったそうに目を瞑る。
「組織への忠誠を示すためですよ」
「なぜそんな組織に入った」
異常に圧し殺した低い声で刑事は質問し、青年を睨みつけた。
「他の職は断られたんで」
「なぜだ」
「学校に行ってないから」
刑事は掴んでいた手を離す。
「なぜ行かなかった」
「親が通わせてくれなかったんで」
刑事はゆっくりと向かいの椅子に腰を降ろした。
「それはなぜだ」
「別に。育児放棄ってやつじゃないですか。血が繋がってないから仕方ありませんよ」
「本当の親は?」
「僕が五歳の時に殺された。別の組織の奴らの手で」
刑事はしばし青年の顔を見据えた。
「君は死刑だ」
やがてその目は同情の色を帯びる。
「生まれ変わったらどんな人生を望む?」
青年は面倒臭そうに答えた。
「次は、貴方に捕まらないようにします」
その他
公開:20/07/17 02:42
映画のワンシーン のつもりで 書きました

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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