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Kは焦っていた。上空で轟音を響かせる偵察機に見つからないことを願いながら、個人用ライドの速度をマックスまで上げる。身に付けた隊服は所々擦り切れていた。腹部の傷が痛む。ただ、内紛による混乱の最中、監察AIの目を盗んで7秒という自己最新記録で脱出に成功したのは喜ばしいことだ。町に戻ったらまず服を買わねば。すると思考を断ち切るように受信機がメッセージを再生する。「ケィ、久しぶり。時間があれば家に寄ってね」Hだった。懐かしい声に頬が緩んだところで、丁度実家近くへと続く大きな川沿いの道に出た。ケイタは自分を追跡している影が無いことを確認すると速度を落とし、近くにあったファクトリーで私服を購入した。フィッティングルームで着替え終わると再びライドに乗り込み、自動運転モードに切り替える。ここからは8時間の長旅だ。目を覚ました時には、玄関先に佇む老いた母の姿が見えた。15年ぶりだった。「ただいま、圭太だよ」
SF
公開:20/07/17 19:56
更新:20/07/24 11:13
更新:20/07/24 11:13
脱出
母
息子
戦闘
自動運転
時空
歪み
ねじれ
近未来
『常識ヘルメットの下はキテレツ脳髄』。
訳が分かりませんが、こんな気持ち(↑)でやっていきたいと思っています。
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皆様と同様、文章を書くのがとても好きです。
ふと思いついたタイミングで更新します。
ネタバレ的なものは、投稿に対するコメントとして書いていこうかと考えています。
何事も初心者です。
よろしくお願いします。
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