真夜中のコンビニ

広い畑に今年は何を植えようかと考えていると妻が「コンビニを育ててみない？」と言い出した。
聞けば今、畑に種を蒔くだけで出来るコンビニがあるらしい。
アスファルトのように硬い地這草を駐車場に、向日葵のように高く育つ花を看板とする。建物だって中の商品だって全て植物で出来たコンビニがあるらしい。
それは面白そうだと思い、妻の指示に従い種を蒔く。雑草を引き、水もやる。コンビニは見る見るうちに成長していく。
レジやフライヤーやATMも植物で出来ている！凄いな！
私は完成に近づくコンビニを見てワクワクしていた。

ある真夜中の事だ。私はこっそり家から出るとコンビニ畑へと入った。
冷蔵コーンからプチリと缶ビールをむしり取る。肴はこの枝豆でいいか。
飲食物を手に店を出ようとすると鬼灯のような警報が鳴った。
鬼の形相でやってきた妻に「コンビニは成長しても貴方は成長しないのね」と叱られる私は枯れていく一方だ。