水の卵
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初めて父さんが水の卵獲りに連れてってくれた。
「今日あたり海面に出てくるはずだ」
叔父さんとふたりで網の準備をしながら父さんが言った。
最初はなにも見えなかったけど、日が高くなるにつれて海面にボコボコと泡がたってきた。よく見るとそれが水の卵だった。
父さんが網を打った。
初めて見る水の卵は思ったより大きくココナツくらいあった。
近くで見るとそれほど綺麗でもない。
「これがそんなに高く売れるなんて」
「どうして獲ってもらいたい連中がいるからな」
「集めて水にするのかな」
父さんは首を振った。
「水にしないためさ」
そろそろ危険だと港に引き返す途中で、背中に衝撃を感じて振り向いた。卵が孵って細かい水の粒が吹き上がり、巨大な水柱がたった。空に落ちる滝のよう。音が耳を刺す。
「あれでも俺たちが獲るようになって、だいぶ小さくなったんだぜ」
空に昇ったあの水たちは、どこか遠い国で雨になるそうだ。
「今日あたり海面に出てくるはずだ」
叔父さんとふたりで網の準備をしながら父さんが言った。
最初はなにも見えなかったけど、日が高くなるにつれて海面にボコボコと泡がたってきた。よく見るとそれが水の卵だった。
父さんが網を打った。
初めて見る水の卵は思ったより大きくココナツくらいあった。
近くで見るとそれほど綺麗でもない。
「これがそんなに高く売れるなんて」
「どうして獲ってもらいたい連中がいるからな」
「集めて水にするのかな」
父さんは首を振った。
「水にしないためさ」
そろそろ危険だと港に引き返す途中で、背中に衝撃を感じて振り向いた。卵が孵って細かい水の粒が吹き上がり、巨大な水柱がたった。空に落ちる滝のよう。音が耳を刺す。
「あれでも俺たちが獲るようになって、だいぶ小さくなったんだぜ」
空に昇ったあの水たちは、どこか遠い国で雨になるそうだ。
ファンタジー
公開:20/07/16 18:26
ボケ防止にショートショートを作ります
第二回 「尾道てのひら怪談」で大賞と佳作いただきました。嬉!驚!という感じです。
よければサイトに公開されたので読んでやってください。
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