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マジシャンは、つい得意なマジックばかりをやってしまう。私もその一人だ。大抵いつも、お客様からモノをお借りしてパフォーマンスをする。この日も、中年のサラリーマンがつけていた腕時計をお借りした。
「3.2.1...」
見事、腕時計を消すことに成功した。そして会場は歓声に包まれた。再び言う、
「3.2.1...」 「3.2.1...」
まずい。消した時計が再度現れてくれない。どうしよう。
私は潔く言うことにした。
「申し訳ございません。時計が再び現れることはありません。マジックは失敗です。」
会場の空気が一気に凍りついた。今すぐここから逃げ出したい。すると、中年のサラリーマンが怒鳴り声を上げた。
「そうやってお前は、最初から俺の時計を盗むつもりだったんだろ!」
腹が立った。
「3.2.1...」
私はその中年のサラリーマンを消した。会場は大歓声に包まれた。
「3.2.1...」
見事、腕時計を消すことに成功した。そして会場は歓声に包まれた。再び言う、
「3.2.1...」 「3.2.1...」
まずい。消した時計が再度現れてくれない。どうしよう。
私は潔く言うことにした。
「申し訳ございません。時計が再び現れることはありません。マジックは失敗です。」
会場の空気が一気に凍りついた。今すぐここから逃げ出したい。すると、中年のサラリーマンが怒鳴り声を上げた。
「そうやってお前は、最初から俺の時計を盗むつもりだったんだろ!」
腹が立った。
「3.2.1...」
私はその中年のサラリーマンを消した。会場は大歓声に包まれた。
ホラー
公開:20/07/14 20:04
更新:20/07/20 22:46
更新:20/07/20 22:46
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X (twitter):望月滋斗 (@mochizuki_short)
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