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出目金ほどの小さい人魚を飼っていた。
私はそいつの水槽にタバスコなんかを入れたりして、よく遊んでいた。私が何かをするたびに、人魚はとても苦しそうだった。しかし、その目はいつも虚ろで、それだけが救いだった。
あるとき、人魚は死んだ。他の魚に比べれば、やすらかな死に方だったと思う。私は悲しくなって、死んだ人魚を肴にして食べた。常備していた焼酎とよく合った。
明くる朝、頼んでいない宅配物が届いた。中にはてらてらと輝く魚の死骸が入っていた。
私はそれが死んだ人魚が遺してくれたものだと気づき、哭いた。アルコールで潰れた目に涙がよく沁みた。私は人魚のコリコリとした食感を思い出しながら、その魚と会話した。
「全ては私のせいなのか?」
「そう。」
その瞬間、紐のような寄生虫が魚の目玉から飛び出し、私の眼窩に入りこんだ。
ずるずると脳に向かう長い虫を眺めながら、私は用意していた縄に首をひっかけて死んだ。
ホラー
公開:20/07/14 14:58

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