本の売れ行き

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 ある作家の男が新作を出版した。発売日前から噂になっているとのことで評判を見たのだが、なんとも評判が良くない。ほとんど悪い評価ばかりだ。
 果たして書店に並ぶのだろうか。心配になり、発売日に近くの本屋を片っ端から見て回ることにした。
 1店舗目。数冊しか置いていない。
 2店舗目。どこにも見当たらなかった。
 その後も何店か回ったが、平積みされている同じ発売日の新刊と異なり、男の本はあまり扱いが良くなかった。

「さて、まさかとは思うが……」

 ある書店に入ると、そこには男の新作が平積みされていた。あまりの多さに、男は落胆した。

「はぁ、結局評価通りか……」

 そうつぶやき、男は古本屋を後にした。
その他
公開:20/07/15 17:55

フィーカス

短編掌編をよく書いています。
時々何かに入賞したりします(2回)。
わけのわからない世界観を生み出したいです。

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