絵画の個展

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 画家を目指していた男は、毎日のように水彩画を書き続け、個展を開くまでの作品数になった。
 だが、彼の個展にはあまり人が来ず、即売会でもほとんど売れなかった。
 個展の終了時間ぎりぎり、ある画商の男がやってきた。画商の男は彼の作品をみて、「これならぴったりだ」とつぶやいた。
「君、うちで個展を開かないか?」
「え、私の作品でですか? どうせ売れないし構いませんが……」

 数か月後、画商の男は画家志望の男の作品を含む作品の展示会を行った。すると、同時に開催した即売会で彼の作品は売れに売れた。

「こんなに売れると思いませんでした。一体どうしたんです?」
「何、私は額縁を売っていただけさ。それにふさわしいサイズの絵を探していたのでね」

 その後、画家志望の男の作品は評価が上がり、今では有名画家の仲間入りとなった。彼にとっては高い宣伝費となっただろう。
その他
公開:20/07/13 16:29

フィーカス

短編掌編をよく書いています。
時々何かに入賞したりします(2回)。
わけのわからない世界観を生み出したいです。

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