ビンの液体

「よし、できたぞ」
私はそういって、ビンを机に置き、部屋を出て行った。
次に部屋に戻ると、ビンだけがなくなっていた。
「はて、盗まれたかな」
いろいろ探してみるが、見つからない。
「困ったな。あのビンの中に入っている液体を飲んでしまうと、金遣いがものすごく荒くなってしまうのだが……」
そう不安になっていたが、数週間が経っても、なんの異常もなかった。
「よかったじゃない」
ある日の夕食、妻がそういった。
「ああ。あれはもともと貧しい奴らにもっと金を使わせるために作ったんだ。水道水に薄めて混ぜれば、その効果は絶大だったろう。ところで、今日の夕食は豪華だな」
「そうなの。いいお肉を見つけて、つい買っちゃった。あなただって、この間大きな買い物をしたじゃない」
「久しぶりに、いいゴルフクラブがあってね。でも、問題ないだろう。この辺りは金持ちしか住んでいないんだし、これくらいで騒ぎになりはしない……」