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とある古の話。
雨がほとんど降らず、ひどい干ばつに毎年襲われている農村があった。
雨を降らすために雨乞いをして神様にお供え物をしていたという。
しかし、乾いた空気とサラサラな砂に湿気が帯びることはなかった。
そんな農村で、新たな命が生まれた。
その子はスクスクと育ち、農村一の人気者で心優しい性格の持ち主に。
さらに、神様も羨むほどの美貌だったという。
彼女が10歳を迎える年の干ばつは特にひどく、村人の半数が飢餓で亡くなってしまうと心配されていた。
心優しい彼女は村長に自らを雨乞いの生け贄にしてほしいと嘆願したのだ。
「私の命で村のみんなが助かるなら悔いはありません」
村の大人が集まり、彼女を神様にお供えした。
次の日の朝、待ち望んでいたザーザーという音で目を覚ました子どもたち。
「お母さん、雨が降っているよ!」
純粋無垢な子どもだけが”恵“の雨を喜んでいた。
その他
公開:20/07/14 11:18
更新:20/07/14 21:30

ゆう( 東京都 )

はじめまして。ゆうと申します。ショートショートのおもしろさに惹かれ、不定期に投稿しています。みなさんと交流ができたらうれしいです!

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