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合羽を新調しようと「ゴム屋」に来た。
「ゴムはゴム屋っていうからね」
「言いません」
担当の男は俺に素っ気無かった。俺も重ねてふざけるメンタルは持ち合わせていない。ここからはビジネスだ。
「やはりゴアテックスがいいんだろ?」
「夏場の使用には多少難がありますね」
といいながら男は、半透明の巨大な風船をビンビンと引っ張っている。
「私どもではこちらをお勧めします」
「風船じゃないか」
「耐水圧20,000mm。高撥水性。透湿度8,000g/㎡/24h。高伸縮性。畳めばフリスクケースに収まる携帯性」
「で、欠点は?」
「装着時は全裸でお願いします」
男はそう言って「さあ」とでも言うように、風船の口を俺に向けてきた。
「脱げと?」
「ご試着を。実際の製品は七色からお選びいただけますので、法に触れることはありません」
「ゴムのことは」
「ゴム屋にお任せください」
俺はネクタイをはずした。
「ゴムはゴム屋っていうからね」
「言いません」
担当の男は俺に素っ気無かった。俺も重ねてふざけるメンタルは持ち合わせていない。ここからはビジネスだ。
「やはりゴアテックスがいいんだろ?」
「夏場の使用には多少難がありますね」
といいながら男は、半透明の巨大な風船をビンビンと引っ張っている。
「私どもではこちらをお勧めします」
「風船じゃないか」
「耐水圧20,000mm。高撥水性。透湿度8,000g/㎡/24h。高伸縮性。畳めばフリスクケースに収まる携帯性」
「で、欠点は?」
「装着時は全裸でお願いします」
男はそう言って「さあ」とでも言うように、風船の口を俺に向けてきた。
「脱げと?」
「ご試着を。実際の製品は七色からお選びいただけますので、法に触れることはありません」
「ゴムのことは」
「ゴム屋にお任せください」
俺はネクタイをはずした。
その他
公開:20/07/14 11:10
シリーズ「の男」
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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