海を拾う

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「コンタクトレンズを取る時、眼球を触っちゃうことあるだろ」
「はあ? ないだろ」
「ほら、この間海に行っただろ。ビールを飲み過ぎてコンタクトレンズを取ったの忘れてもう一度目に指を」
「痛いって」
「そしたら、ポロっと何かが目から落ちたんだ」
「え」
「桜貝が服に付いてたと思ったけど、良く見たらカラーコンタクトで、思わず目に入れたんだ」
「・・・・・・」
「そしたら、見たことない風景が見えたわけ。こう、潮の匂いもして。あ、海だ。深い、深い海の底だ」
「返して、私の目」
「え?」
目に激痛が走ったと思ったら、大量の涙で溢れた。歪んだ視界越しに、大きな尾ひれが見えた。
「人魚?」
声に反応したのか、くるりとこちらを振り返った。その姿を見て、思わず悲鳴をあげた。
「どうした、びしょ濡れじゃないか」
友人が不思議な色の目で心配そうに俺を見た。背中には海。
その他
公開:20/07/13 20:30

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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