鉄の太陽

2
3

私の家はとても貧乏だ。
私は絵が書くのが好きで、時間がある時は日がな家で絵を描いて過ごしている。
だが、肝心の絵の具もろくに買い揃えられない。

絵の具が欲しい、母にそう懇願すると、決まって赤色の絵の具が注がれたお皿を持ってくる。
そうして、申し訳なさそうに笑ってごめんなさい。と言うのだ。

私は赤い絵の具で夕陽を描く。
ままならない世の中を憂いながら、仄かに鉄臭い、真っ赤な夕陽を。
その他
公開:20/07/13 19:33

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容