頑張り屋さん

0
2

世の中不公平だ。どれだけ頑張っても結局は結果が全てなんだ。過程が大切なんじゃない。
いくら頑張っても、成果を他の奴に奪われてしまっては何の意味もない。この世はズルい奴が勝つ仕組みなんだ。
もう…疲れた…
会社に向かう電車の中、昨日の出来事を思い出した俺は仕事をする気力を失っていた。
スマホの電源を落とし、降りるべき駅を素通りする。このまま、どこかに行ってしまおう…
目を閉じ、電車の揺れに身を任せた。

目を覚ますと見知らぬ土地にいた。目の前には『頑張り屋』という店。何だここ?
「ここは貴方の頑張りを買う店です」
店主らしき老婆が私の頭に手を伸ばす。
「頑張ったねぇ」
節くれ立った手が俺に安心感をもたらす。
「それで、どうするんだい?」
老婆が問いかけた。
答えは決まっている。
「もう少し…頑張ってみます」
老婆は笑う。
「辛くなったら、いつでもおいで」

いつも降りる駅で俺は目を覚ました。
公開:20/07/13 19:16

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容