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 大国の調査隊が、ある小部族を訪ねた。目的は、村の山に眠る未知の鉱石だ。
「あの山を開発させてくれ」
調査隊は半ば強引に原住民を納得させ、すぐに本国に人員と機械の派遣を求めた。
 やがて大開発が始まり、大量の鉱石が採掘された。加工しやすく丈夫で純度も高い夢の資源は、工具から宝飾品にまで用いられ、たちまち世界中に製品が広まった。
 ある日、現地の調査隊員は、族長に、なぜこの鉱石を原住民は利用しないのかと尋ねた。すると族長は、気まずそうに答えた。
「村の言い伝えゆえです。この石は、切り出して触れると徐々に人からあらゆる気力を奪い、やがて廃人同然にして死にさえ追いやる代物なのです。遠い祖先が手を出し、我が部族はこのように衰退しました」
「何だと、なぜ早く教えてくれなかった」
「それも言い伝えなのです。石を欲する者達には、ただ黙ってさしだせ。そうすれば欲深い侵略者が自ずから滅びるだろう、という…」
SF
公開:20/07/11 12:00

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