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「それでお酒足りる?」
「金麦10缶に日本酒、ボトルワイン、ウイスキーまで用意して足りないわけがないだろ」
10年ぶりに再会した親友は三十路にしてはずいぶん若く見えて、最近主張が激しい自分のほうれい線とビール腹が少し気になった。

「俺たち卒業してもさ、一生の友達でいような」
サークルの追い出しコンパで誓ったものの、社会は想像以上に過酷で、親友とは段々疎遠になっていった。
それから10年。

「大学の時みたいな宅飲み、しようぜ!」
相手の都合も考えず、唐突に誘ってくるところは相変わらずで、懐かしさに思わず口元が緩んだ。

コンビニで買った酒とつまみをテーブルに並べ、親友はゲームキューブを起動する。
「マリカーやろうぜ。負けたらブラックニッカで」
テーブルの上で、逞しい髭を蓄えたおじさんがこちらを見て笑っている。
「おっさんだけどさ、たまにはこういう飲み会もいいじゃんね」
青春
公開:20/07/12 14:44
更新:20/07/12 15:04

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