丁度良いくらいの不味さ

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買物カゴ片手にお菓子を物色する。
結局カゴに入るのは子供の頃から慣れ親しんだ味だ。
ふと、手が止まらなくなるお菓子づくりの秘訣として
「美味しく作りすぎない」という話を思い出した。
いわゆる病みつきの味にするためには
完璧に美味しい状態の少し手前で止めておくといいそうだ。
むしろ美味しすぎると数個で満足してしまうという。
「それじゃ程よく不味いわけね。」と私が応え
「そういう事じゃない。」と二人で笑う光景まで思い出せてしまった。
小さくため息をつく。
その話をしてくれたのは、先月別れたタカシだった。

自分では尽くしているつもりでいつも向こうから振られるのはそういう事だったのかな。
彼への未練でお菓子を買う習慣が辞めれずにいた。
なんだか忠告された気分になって腹が立ってきた。
私とお菓子を一緒にすんな。唇だけ動かした。

私も程よく不味い女にならないと。
独りごちて、お菓子を棚に戻した。
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公開:20/07/12 13:58

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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