あみだくじ

「じゃあ、リーダーやりたい人は集まってくださーい！」

適任者は自分だとか、リーダーになった暁にはみんなのために――などと口々に言い合いながら、大きな紙を囲む。
そこには黒いペンで幾本もの線が書かれている。

じゃんけんをし、勝った者から線を選ぶ。最初に選んだからといって有利なわけではない。あみだくじは、あくまで運だ。
全員が選び終わると、紙は一旦回収された。

「リーダーが決まりました！」
再び紙が広げられ、当選の星から線を逆にたどる。みんなが見守るなか、田中君の当選が決定した。

それを見ていた男子がこぼす。
「あみだくじでリーダーを選ぶなんて、結局、誰がなっても同じってことじゃないか」

それを聞いた女子が耳打ちする。
「よく見ると、あとから書き込んだと思われる太さの違う線があるでしょ？　田中君の当選は仕組まれていたの」
「どういうこと？」不安がる男子に女子は言う。
「文書改ざんよ」