ヘンゼルハウス

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本当に魔女はいたんだと思った。
「お入り、坊や」
森の中、甘いにおいのお菓子の家。手を伸ばすと、ふやけたビスケットがぼろぼろ落ちた。母さんがくれた最後の一枚、ズボンでふいてもう一回さわる。かべは固くてザラザラした。
「焼きたての方が美味いぞ」
「食べたら足りなくなるよ」
「足りなきゃまた焼くさ」
魔女の声は母さんよりきれいで、手はすべすべで温かかった。
かまどのそばに座って、焼き立てのかべを食べた。甘くてサクサクだった。

ベッドで寝て、起きて、ご飯を食べて、僕は夏じゅう魔女といた。はれた目が治って見たら、家はお菓子じゃなかったけど、かまどはいつも甘いにおいがした。

秋の虫が鳴く頃、おまわりさんが魔女を連れて行った。
ミセーネンシャユーカイが何か知らないけど、魔女を助けなくちゃと思った。パトカーに乗せられてる間、そでに隠したナイフをにぎってた。
まずは僕の家の、悪い魔女をたいじするんだ。
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公開:20/07/11 22:32
更新:20/07/11 22:47
グリム童話 ヘンゼルとグレーテル ダーク・リベイク

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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