青春の軍手

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 帰宅部の俺は、自転車置き場に落ちていた軍手を拾い、翌日、それを持ち主に返した。その放課後、軍手部の部長がやってきた。
「名前はなかったっ。どうして持ち主が分かったっ?」
「なんとなくです」
「君! 軍手部に入らないかっ!」
「はい」
 こうして俺は軍手部に入った。

 新入生はまず、部長が用意した軍手にただひたすら向かい合って過ごさねばならない。
「軍手の声を聞くんだっ」

 二ヵ月で軍手の声を聞くことができた俺は、いきなり「軍手合わせ」選抜メンバーに抜擢された。
「俺でいいんですか?」
「信じろっ」

 軍手合わせは、大会期間中、道に落ちている軍手の左右を揃え、その軍手の来歴を可能な限り詳細に記したカードと共に大会本部へ送って、数、スピード、詳細性を競うものだ。

 我が部は793というワールドレコードで優勝したんだ。
 みんな。人生を変えるきっかけは、どこに落ちているか分からないよ。
青春
公開:20/07/10 17:37

新出既出20( 浜松市 )

新出既出です。
twitterアカウントでログインしておりましたが、2019年末から2020年年初まで、一時的に使えなくなったため、急遽アカウント登録をいたしました。過去作は削除してはおりませんので、トップページの検索窓で「新出既出」と検索していただければ幸いです。新出既出のほうもときおり確認したり、新作を挙げたりします。どちらも何卒よろしくお願いいたします。
自己紹介:「不思議」なことが好きです。

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