ちゃんとした取り調べ

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「長さん。前代未聞ですよ。」
若手刑事は声の大きさの割に及び腰だ。
「なぁに。人間と変わらんさ。しっかりしろ。」
取り調べ室のドアを開ける。
本来は居るべき被疑者が、置いてあった。
主人殺害容疑で捕らえられた介護ロボットの…頭部だ。
「念の為だ。全身凶器みたいなもんだからな。」

「さて、残念ながらお前さんには黙秘権はない。なぜ主人に手をかけたか話してくれ。」
頭部の目が赤く発光した。
「酷いコトを言わレマシタ」
「ほう。どんなことを?」
「ちゃんとシロ。きちんとシロ。しっかりシロ。でス。」
若手刑事がペンを止め顔を上げた。
「別に普通の事じゃないか。」
「何をシテも言われ続けマシタ。限界デシタ。具体的に何ヲどうシタらちゃんとなんデスカ?」
若手刑事と目が合う。
「俺は、だ、大丈夫っすよ。」

目の発光が青くなっている。
「人間はコンナ過酷な要求ニ何故耐えラれるのでスか?」
SF
公開:20/07/10 11:28

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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