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雨の予報は知っていたからレインブーツを履いてきた。でも、いまさら泥で汚れるのを厭うだなんてヘンだなと気づいて、少し笑った。笑うのは久しぶりで、それが余計に寂しさを募らせた。
目の前が明るくなる。最終目的地。名も知らぬ山の名も無き池。天気は急速に回復していた。池の水面に雲の切れ間が青い。
レインブーツを脱いで池にむかって揃えてから、背中のリュックを一度、二度と揺すった。それから、ただ前だけを見て、滑って転んで一人で慌てふためくなんてことのないように慎重に、わたしは池に足を浸した。ゆっくりと広がる波紋。
その先に、大きな虹が映っていた。
わたしは、波紋で虹を乱したくないと思った。だから、待とうと思った。わたしは歩みを止めて待った。だが、夜になり、朝を迎えても、虹はそこに映っていた。
帰ろう。
踵を返して池を出た。そしてレインブーツを履くために、池へ向き直った。
虹は消えていた。
目の前が明るくなる。最終目的地。名も知らぬ山の名も無き池。天気は急速に回復していた。池の水面に雲の切れ間が青い。
レインブーツを脱いで池にむかって揃えてから、背中のリュックを一度、二度と揺すった。それから、ただ前だけを見て、滑って転んで一人で慌てふためくなんてことのないように慎重に、わたしは池に足を浸した。ゆっくりと広がる波紋。
その先に、大きな虹が映っていた。
わたしは、波紋で虹を乱したくないと思った。だから、待とうと思った。わたしは歩みを止めて待った。だが、夜になり、朝を迎えても、虹はそこに映っていた。
帰ろう。
踵を返して池を出た。そしてレインブーツを履くために、池へ向き直った。
虹は消えていた。
その他
公開:20/07/10 10:05
筋肉少女帯
生きてあげようかな
リスペクト
新出既出です。
twitterアカウントでログインしておりましたが、2019年末から2020年年初まで、一時的に使えなくなったため、急遽アカウント登録をいたしました。過去作は削除してはおりませんので、トップページの検索窓で「新出既出」と検索していただければ幸いです。新出既出のほうもときおり確認したり、新作を挙げたりします。どちらも何卒よろしくお願いいたします。
自己紹介:「不思議」なことが好きです。
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