スカイダイビング登校

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 バベルの塔と渾名される、超高層タワーマンションがある。その上層階はいつも雲に隠れ、地上から目にすることは叶わない。噂では、バベルの塔は千階建てとか、最上階から宇宙ステーションが見えるなど、まことしやかに囁かれている。その上層階の住民達は「神々」と呼ばれ、その子供たちは「天子」と敬われていた。

 そんなバベルの塔の神々にも悩みがあった。それは天子たちの登下校である。バベルの塔には何千人という子供が住んでいる。そのため、マンション専用の学校が目の前に建てられている。しかし、天子たちの登校時間は毎日1時間。そのうち59分はエレベーターの待ち時間だった。

 この問題を解決するため、新しい登校方法が考え出された。それがスカイダイビング登校である。これにより天子たちの登校時間は1分に短縮された。

 今日もバベルの塔の空から天子たちが降りてくる。ランドセルの代わりにパラシュートを背負って。
 
ファンタジー
公開:20/07/10 19:28
更新:20/07/10 19:32

森下慎吾

文章を書くのは楽しいけど、難しい!
読んだ人が楽しんでもらえるよう、がんばります。

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