真夜中のコンビニ

「シンデレラが来たらすぐに追い返すんだ」
週末の夜、店長は多めのバイトを配置する。駐車場へと目を光らせる。
それもそのはず。ウチのコンビニはお城のすぐ近くに建っている。
今夜も王子様が美しい女性を集めてパーティを開いている。それに女性達が参加するのはどうでもいい。
ウチの駐車場に車を停めて、お城に行くのもまあ目を瞑ろう。むしろこの夜ばかりは普通の車が停まっていた方がありがたい。シンデレラ達がやってこないから。
このシンデレラというのはとても厄介な女でね。仕事場からすぐにこっちに駆けつけて来るものだからロクにメイクもしていない。
ウチの店にやって来てはメイク道具を奪い合うように購入していく。まるで武闘会だ。
そして移動に使ったカボチャの馬車を駐車場に置いていくんだ。
先日は１２時になった途端、駐車場がネズミと南瓜で溢れ返った。鼠駆除と掃除が大変だったよ。
だからウチはシンデレラお断りなんだ。