恐怖の教習車

「教習車だ！逃げろ！」

　俺達はコンビニ強盗。首尾良くレジの金を頂いて、車で逃走したまでは良かった。しかし、ヤバイ所に逃げ込んでしまった。そう、この辺には自動車学校があるのだ。

　令和XX年、警視庁は一部の覆面パトカーに、教習車の外装を採用することを発表。これにより、街中の全ての教習車がパトカーに見え、犯罪が激減した。

「前から教習車だ。右に曲がれ！」
「いや、右にも教習車だ！」
「なら左だ！」
　俺達は教習車を避け、交差点を左折。こっちの道路に教習車はいない。
「よし、一気に逃げるぞ！」
　車を急加速しようとしたその瞬間、一台の普通車がすっと出てきて進路を塞いだ。
　そして中から屈強な男達が飛び出し、俺達の車を取り囲んで言った。
「馬鹿め、普通の覆面だっているんだぞ」

　新しい覆面パトカーの成功を受け、警視庁は来年度から更に一部の覆面パトカーに初心者マークをつけることを発表した。