踝に触れるモノなど、もうどうでもよくなった話

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 家では短パン素足スリッパで過ごしているのだが、ターンするとき気になるのは、右足の外踝に時折何かが触れることだ。それは空気というには確かすぎ、虫というにはガスっぽく、紐にしては丸すぎて、当然そこには何もない。短パンから何かが零れているのかと全裸になっても、ターンする右外踝を見えない何かが時折触れる。
 霊なのか? それとも小さな蜘蛛が、垂らした糸の先にいるのか?
 俺は病院にいこうと思った。でもこれは皮膚科? 外科? 整形外科? 脳神経科? とりあえずかかりつけ医は内科だがオピニオンを仰ぐことにした。
「踝に?」
「はい。でも何もないんです。でも確かに何かが触れるんです」
「とりあえず見てみますが。右の外踝でしたね?」
 俺は「そうです」と言って靴下を脱ごうとした。その時、医師はこう尋ねてきた。
「で、上の踝ですか? 下の踝ですか?」
 俺の、靴下を脱ごうとしていた手はピタリと止まった。 
その他
公開:20/07/08 10:34
更新:20/07/08 10:54

新出既出20( 浜松市 )

新出既出です。
twitterアカウントでログインしておりましたが、2019年末から2020年年初まで、一時的に使えなくなったため、急遽アカウント登録をいたしました。過去作は削除してはおりませんので、トップページの検索窓で「新出既出」と検索していただければ幸いです。新出既出のほうもときおり確認したり、新作を挙げたりします。どちらも何卒よろしくお願いいたします。
自己紹介:「不思議」なことが好きです。

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