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背中を丸めてテレビを見ている彼に聞いた。
「ねぇ、釣りやっていい?」
「いいよ」
了解を得たので彼の猫背に糸を垂らす。
ぽちゃんっ…と音がして、彼の背に浮きが頭を出す。
見事な曲線を描く彼の背中は私だけが知るマル秘スポット。この猫瀬は誰にも教えられない。
「きたきた!」
大きな当たりを感じ、リールを巻き取っていく。いい感じの魚が釣れた。
「やった!」
早速釣った魚を調理すると美味しく頂いた。
「ねぇ、僕も釣りやっていい?」
「どうぞ~」
こたつで丸くなる私の背に彼が糸を垂らす。
ぽちゃんっ…背後から聞こえる清流の音にウトウトしていると彼もまた魚を釣り上げていた。
おお!私の中から彼より大きな魚が釣れたか。さすが私!
魚心あれば水心。
お互いの信頼関係と愛情がなければ猫瀬で釣りは出来ない。
魚心あれば下心。
水心がなければ浮きは浮気に転がり落ちる。
猫瀬での釣りは愛情を確かめる行為でもある。
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公開:20/07/09 19:20

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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