真夜中のコンビニ

0
2

「すみません。お饅頭を一つ下さい」
今日も深夜0時にお婆さんがお饅頭を買いに来た。私はいつものように取り置きしておいたお饅頭をお婆さんに渡す。
「ありがとね」
お婆さんはいつものように店を出て、消えた。

『ウチのコンビニ、深夜0時にお婆さんの幽霊出るよ』
店長からそう聞かされた時、からかわれているのだと思った。
でも、実際深夜のシフトに入ると本当にそのお婆さんの幽霊はいて、毎日こうして決まった時間にお饅頭を買いに来る。
聞けば昔、この辺りでは飢饉が起こり多くの人が飢えに苦しんだそうだ。
このコンビニの裏にはそんな飢饉で亡くなった人達の鎮魂碑が建てられている。お婆さんの買ったお饅頭もいつもそこに供えられてある。
「悪い幽霊じゃないんだ」
バイト帰り、私はお饅頭の隣に雪見大福を供え、手を合わせた。

翌日
「すみません。お饅頭を一つと雪見大福を下さい」
その日から店の売り上げが少し上がった。
ホラー
公開:20/07/09 18:56

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容