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「マヤ、綺麗だよ」
 六本木の高級ホテルのスイートルーム。
 男はもちろん見た目や金も大切だけれど、それプラス『どれだけ私好みに磨ける男なのか』という点がポイント。私好みに磨いて、私を飾る。男は常に装飾品。ジュエリーのように多い方がいい。その方が綺麗になれるから。
 彼のキスを首筋に受ける。その時私はベッドサイドの、ルームサービスのメニューにくぎ付けになった。
『ダイヤモンド始めました』
 そう書かれていた。
「待って」
 男を押しのけると私はそれを手に取った。
「深夜サービスですって。頼んでみましょうよ」
 男は快諾すると、フロントに電話した。すぐにルームサービスの青年がやってきた。
「磨けば輝くダイヤモンドの原石です。お客様を美しく装飾してくれますよ」
「買って」
 私は男に言う。
「買うのかい?」
 男は装飾するもの。
「そうよ。この原石よ。すごく可愛い。私この子を装飾してみたい」
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公開:20/07/09 09:25

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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