風のデパート
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ずらりと並んだ小瓶を前に、いつもの優柔不断な性格が出てしまう。
試しに『青嵐』の小瓶を手に取り、軽く掲げて中身を覗くと、ラムネみたいな爽快な色が波打っている。
『疾風』の小瓶は笛ような音を響かせ目まぐるしく走る風に見惚れてしまう。これも悪くない。
「どんな風をお探しですか?」
店員に声をかけられ、持っていた『疾風』の小瓶を棚に戻す。
「季節を感じたいんですが…」
「それでしたら今年はさっそく『北風』が入荷しておりますよ」
「うーん。まだちょっと早くないですか?」
「そんな事ございません。違う季節のものだからこそ、より強く良さを感じる事ができますよ」
「なるほど。では『北風』をいただいていきます」
冷んやりとした無色透明の小瓶を受け取り、鞄に入れようとして失敗した。割れた小瓶から乾燥した北風が吹き荒れ、捕まえるより早く逃げられてしまった。
今年、冬の訪れが早かったら、それは私の責任である。
試しに『青嵐』の小瓶を手に取り、軽く掲げて中身を覗くと、ラムネみたいな爽快な色が波打っている。
『疾風』の小瓶は笛ような音を響かせ目まぐるしく走る風に見惚れてしまう。これも悪くない。
「どんな風をお探しですか?」
店員に声をかけられ、持っていた『疾風』の小瓶を棚に戻す。
「季節を感じたいんですが…」
「それでしたら今年はさっそく『北風』が入荷しておりますよ」
「うーん。まだちょっと早くないですか?」
「そんな事ございません。違う季節のものだからこそ、より強く良さを感じる事ができますよ」
「なるほど。では『北風』をいただいていきます」
冷んやりとした無色透明の小瓶を受け取り、鞄に入れようとして失敗した。割れた小瓶から乾燥した北風が吹き荒れ、捕まえるより早く逃げられてしまった。
今年、冬の訪れが早かったら、それは私の責任である。
ファンタジー
公開:20/07/06 13:22
ショートショートには不向きな書き方かもしれませんが、こちらで修行させていただきたくお邪魔しました。
よろしくお願いします。
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