神の戯れと悪魔の打算

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「日本? まあまあ住みやすいところだとは思うけれど、最近ちょっと気持ちの問題がねぇ」

「そうだな。すこし生産性が悪くなったかな。それと、もうちょっと早く手に入らないと困る」

二人の会話がきっかけとなった。

ある日をきっかけに正体不明の流行り病(はやりやまい)が国中に蔓延し、高齢者を中心に死者が多数出て国民には厭世観が広がった。

人々は病の調伏を神々に祈り、感染を防ぐために家に引きこもるようになる。やがて一年以上が過ぎ、ベビーラッシュが起こった。

いつしか病気はおさまり、子供を連れた参拝客が各地に増えるようになった。

「これよ、これ。やっと神頼みが増えてきたわ。人々の信仰心がないと生きていけないからね」

「まあそうだな。死者の魂が新規に入らないとうちも困る。久々に大量入荷できてよかった」

神と悪魔は表裏一体である。彼らの欲求を満たすため、定期的に何かが起こるのである。
ファンタジー
公開:20/07/06 13:11
更新:20/07/06 13:13
369 人の信仰心が神の糧 人の魂が悪魔の糧 両者の利害が一致した 信仰心の減少 少子高齢化 オオカミの自信作

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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