なまえのちから

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「クック」と「クク」と呼ばれると、スニーカーとサンダルがククククと笑いながら娘に駆け寄る。
「カチャ」と呼ばれた娘のお気に入りの傘は、カチャカチャ音を立ててタップダンサーのように踊る。
まだうまく発音できない娘が呼ぶ新しい名前にみんな嬉しそう。
ケラケラ笑う娘がまだまだお友達を呼ぶ。
「ちゃみーー!」
呼ばれて踊り出したのは娘の艶々の髪。
舞い上がる髪がスーパーサイヤ人のよう。
ゲラゲラ笑うのを突然やめた娘が、妹の眠るベッドによちよち歩み寄る。
「ととろ」
まだカ行がうまく言えない娘が、妹の名前を呼ぶ。
「そうだね、こころちゃんだね」
頷く娘。
「ととろー!」
あまりに大きな声で呼ばれて目を覚ましたこころが大きな口を開けた。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
一瞬家が揺れた気がした。
コツンと頭に何かが当たって落ちる。
どんぐりが床の上で光っていた。
その他
公開:20/07/06 08:37
更新:20/07/06 08:40

ほんだのほ

◉「隕石家族」✖︎ショートショートガーデン コラボ
で、【白ネギ家族】が巨大隕石賞を受賞。

◉せたがや朗読教室プチプラージュ主催の朗読会で【おいしい色鉛筆】を朗読していただけることに。

日時:9月23日(祝木)11時~12時
場所:日本近代文学館
朗読出演者:10名(5名は高校生)
観覧者:最大30名(会場の定員は120名)
入場料:無料
主催:せたがや朗読教室プチプラージュ 
目的:10代~20代の朗読活動を応援するため
朗読形態:全文をそのまま朗読(1人2作品)
※公演が中止の場合は動画または録音によりYouTube公開


皆さんの心に少しでも引っかかるような作品を届けたいです⭐︎

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