初めての会話

　「おはよー」
　「お、おはよ」
　彼女は朝教室に入ると毎日僕に対して挨拶をしている。他の女子にも挨拶をしているのだが、他の男子には彼女から挨拶をしていない様子だった。
　では仲が良いのかと言われるとそれも違った。なぜなら挨拶をした後は特に会話がないのだ。
　僕はいつの間にか話してみたいと思うようになっていた。そこで彼女がいつも挨拶するタイミングで自分から挨拶しようと考えた。
　僕はいつも以上にドキドキして待っていると、彼女が来た。
　「お、おはよ」
　「お、おはよー珍しいね」
　「たまにはいいかなと思って」
　「ありがとう、嬉しい！」
　僕は彼女の笑顔を見ていると、つい自分まで嬉しくなった。僕は気づくと彼女のことを目で追っていた。
　すると、目が合ってしまった僕は慌てて目をそらそうとしたが、彼女はニコッと笑顔で返してきた。
　その時もう僕の目には彼女しか映らなかった。