Ⅰ.015 壁にめり込んだ男~副業~

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「こんな小細工に使う前に、防犯基準を守ったらどうだ!」
「デニさん。その指摘は少し違う」
「わん」
 警官に挟まれ委縮する従業員に向かってデニさんは厳しい言葉を投げていた。
 主人が依頼した探しものはダストボックスからすぐに見つかった。ボロ市で買えそうな果物の静物画を納めた額縁で、枠の一部がへし折れている。ガラスも割れているが、これは従業員が処分した際に砕けたものだろう。
 そして、描かれている葡萄の一粒分がくり貫かれて穴が空けられていた。カメラのレンズをはめ込むには丁度いいサイズだ。
 そこにはめ込まれていたであろうカメラは奥のランドリーから発見された。一緒に隠されていた携帯電算機(ハンドキュレーター)で部屋の映像を覗き見していたようだ。
「どうする?消されたデータの復旧を待つか?」
「いや、それよりも早く終わらせるよ」
「わん」
 大詰めに入るため、わたし達は再び現場に戻った。
ファンタジー
公開:20/07/07 21:35
ファンタジー 連載 怪盗 探偵

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

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