祖母の家

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私は幼い頃、田舎の祖母の家が大好きだった。
マンション暮らしでは味わえない木の温かみが、風が運んでくれる緑の空気が、勿論祖母も大好きだった。私は大きくなったらここに住むんだと決めている。
そう話すと祖母は「この子どうかしら?」と誰かに問いかけた。
『恵、我、好き』
突然響いた声に私は恐怖した。
「大丈夫。さっきの声はこの家のものよ。付喪神って知ってる?」
聞いた事がある。長い間大切にされた道具が妖怪になるって話だ。
「先祖代々大切にされているこの家にはね、命が宿っているの。おめでとう。今日からあなたも家のものよ」
そう話していると、両親がやって来た。
「そろそろ帰りましょうか」
母に手を引かれ、家を出ようとすると私達の行く手を遮るように扉が勝手に閉まった。
『恵、我、大切にする、ずっと、死ぬ迄』
再び扉が開くと母だけ外に吐き出された。
健康な祖母が家の外に出られない理由ってこれだったんだ…
ホラー
公開:20/07/07 19:21

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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