ナメクジとの邂逅によるたらこマヨネーズパスタの消滅

　レンジでチンしたコンビニのたらこマヨネーズパスタの容器は熱かった。「アチチチチ」と言いながら食卓へ運ぶ裸足が、危うくソレを踏みつけそうになった。ナメクジだと直感しつつソレを見下ろした時、たらこマヨネーズパスタの容器の熱さを感じなかった。足元のそれは、ナメクジに似ていて、ナメクジによく似たナメクジだと思っていた。ナメクジの質感で、ナメクジの縞模様で、ナメクジのように滞っていたからだ。だがソレは身体の中央で直角に近い角度で折れ曲がっていて、その折れ目からナメクジにそっくりなナメクジの内臓のようなものが垂直にそそり立っていたのだ。
　鳥肌が立った。
　ティッシュを立て続けに引き出し、傾いたＹ字バランスのようなソレを摘み上げて、勝手口から外へ放り投げた。
　それからネットで「ナメクジ」を画像検索し、数千枚を確認したが、あんな状態のソレは見つからなかったし、たらこマヨネーズパスタも無くなっていた。