選手と夢とトレーナー

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「私が跳ぶ姿を見て、みんなに、弾丸と呼んでもらうのが夢です」
と走り幅飛びの選手が、トレーナーに答えた。
その選手が、今、まさに試合で跳ぼうとしていた。
観客席は雑談で騒がしい。しかし、選手の目は静か。
いよいよ助走に入る。徐々に体がスピードに乗り、トップスピードを迎えたところで、ベストなジャンプができた。
……ドテッ
華麗なジャンプをするには、練習しすぎて体についた筋肉が、重すぎた。
「よっ。飛べない筋肉のかたまり!」
ヤジが選手に刺さった。

二年後。その選手は、ラグビーのピッチにいる。
今、敵がボールを持ち、独走態勢に入った。選手が全力で敵に跳び込む。
……ドサッ

試合後。選手とトレーナーは久しぶりに再会した。
「トレーナーが紹介してくれた、このチーム、いいです」
「見事なタックル。で、新しいニックネームには慣れたか?」
「え?スナイパーの事ですか?」
選手は笑った。照れくさそう。
その他
公開:20/07/07 08:48
スクー 飛べない肉球

久保田 人月

ショートショートガーデン二年生です。よろしくお願いします。

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