山本女史第二号

山本女史は美人で賢明な女性官僚だ。清楚なスーツで身をかためて会議を進行する。彼女は決してゴールにたどり着くことなく会議をやめることはない。博学聡明でまるでAIのようだがもちろん彼女はロボットではない。
交渉が山場を越えて座がくつろぐと、彼女はティーブレークを提案する。我々にそれを断る理由はない。会議室の隣のサロン風の部屋に移って、美味しい紅茶をいただく。ジョークに花が咲いた頃、では座興に、と彼女はバイオリンを持ち出す。一曲お耳汚しに、と弾きはじめるが、それがひどいの何の、耳が汚れるどころか、誰もが耳をふさいでしまいたいと思ってしまう。一同の様子は気にせずに山本女史は弾き終えると、次はデュオでお聞かせしましょうと言う。すぐにドアが開いて山本女史そっくりの女性が現れる。バイオリンを手にしている。誰かが「第二バイオリンが来た」とつぶやいた。二人で弾きはじめる。破壊力はソロの四倍くらいにはなる。