会いたい

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「照彦、どうした?頭抱えて」
「しゅ、週間天気予報を見たんだ……」
「ま、まさか」
「ああ……」
僕がいる場所と彼女がいる場所では、1年に1度会いに行ける距離じゃない。
全力でここまで来た。16年ぶりの今年こそ彼女に会えるはずだ。
だが7月7日に傘のマーク。
「ここまで来たのに……」
「照彦、安心しろ。チャンスは3回ある」
「3回?」
「七夕は、旧暦の7月7日。月遅れ七夕の8月7日。新暦だと今年の七夕は8月25日」
「でも、どれも雨で、天の川が増水したら……」
「フッ」
友人は指笛を吹いた。
「ピー!ピー!」
すると一羽の鳥が飛んできた。
「照彦、このカササギに任せろ。こいつが何羽も列になり、天の川に橋を架ける」
「そ、そうなのか?」
「だから心配するな。それと」
「それと?」
友人は僕に短冊を出した。
「さあ、書け。姫は照彦の願いこそを知りたいんだ」
僕が書いたのは「天帝になりたい」だ。
その他
公開:20/07/04 21:16

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