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初夏の真昼。シティホテルのプール。青い空と水しぶきばかり。周りの高層ビルは見えない。若い陽がまぶしい。プールサイドは家族連れがすでにいっぱいで、子供らが走り回り甲高い声がひびく。
俺がデッキチェアで寝ていると彼女がやってきた。まばゆい真っ白なワンピースの水着姿で軽やかに。隣のチェアにタオルと小物を放り投げるとプールに向かい、光る水面に飛び込む。しぶきがいっしゅん広がる。
ひと泳ぎしてきた彼女はデッキチェアで肢体を伸ばしてくつろぐ。
「何か飲みたいわ」
「何がいい?」
「キャラメルマキアート」
俺は売店に行く。紙カップを二つ手に持って戻ってきたが、チェアの脚につまづいて倒れ、マキアートを彼女にぶっかけてしまった。横になっていた彼女の水着には赤土色の染みがみるみる広がって世界地図を描いた。
その日が彼女と会った最後になった。それ以来、俺はキャラメルマキアートを絶対に頼まないことにしている。
俺がデッキチェアで寝ていると彼女がやってきた。まばゆい真っ白なワンピースの水着姿で軽やかに。隣のチェアにタオルと小物を放り投げるとプールに向かい、光る水面に飛び込む。しぶきがいっしゅん広がる。
ひと泳ぎしてきた彼女はデッキチェアで肢体を伸ばしてくつろぐ。
「何か飲みたいわ」
「何がいい?」
「キャラメルマキアート」
俺は売店に行く。紙カップを二つ手に持って戻ってきたが、チェアの脚につまづいて倒れ、マキアートを彼女にぶっかけてしまった。横になっていた彼女の水着には赤土色の染みがみるみる広がって世界地図を描いた。
その日が彼女と会った最後になった。それ以来、俺はキャラメルマキアートを絶対に頼まないことにしている。
その他
公開:20/07/04 09:53
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
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