火取虫

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 大雨が降る暗い夜道。ふと地面を見ると一匹のゴキブリがいた。
 直後、視界が真っ白に染まり轟音が耳をついた。反射的に閉じた目を、ゆっくり開ける。
 なんと、雷に撃たれたであろうゴキブリが、赤々と燃え上がっていた。さらに驚くべきことに、焔を纏ったゴキブリは、勢いよく動き出し、近くの木造アパートへ消えた。
 それからはあっという間だった。
 次々燃え上がる建物たち。逃げ惑う人々、けたたましい悲鳴とサイレンの音、消防車と救急車の群れ。
 不幸中の幸いか、ゴキの姿が監視カメラに映っていた。
 お陰で翌日、軍が銃火器を用いて燃えるゴキブリを仕留めたとの情報が入った。卵も全て回収し、破壊したそうだ。殺虫剤も火も効かない人類種の天敵は、あっけなく仕留められた。
 数日後、傘をさして歩いていると、突然目の前が白に染まった。
 そして、視界が戻ると同時に驚愕する。今度は自分の体が燃え上がっていたのだから。
SF
公開:20/07/05 21:27

ゆぅる( 東京 )

お立ち寄りありがとうございます。ショートショート初心者です。
拙いなりに文章の面白さを追求していきたいと思って日々研究しています。
よろしくお願いします!

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