形は違えど
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久しぶりに村へ帰って来た俺は衝撃を受けた。
何軒もの家が押し潰され、地面には亀裂が入っているところもある。
「みんな大丈夫だったの?」
隣に立つ母さんに訊ねた。
「あんな地震初めてだからどうなるかと思ったけどね。幸いにもケガ人だけ。ただ……」
母さんはそう言うと視線を村の奥の方へと向けた。
「あれ?」
俺はやっと気づいた。
木がなくなっていたのだ。
俺や母さん、そして村長が生まれるよりもずっと前からある大木。
「まさか今回の地震で倒れちゃったの?」
母さんは悲しそうな表情で頷いた。
「でもね、悪いことばかりじゃないのよ。ほら、気づかない?」
母さんは周りを見渡す仕草をした。
そういえば初めて見るベンチがいくつも置いてある。
「座ってみて」
促されるまま座って手をついてみると、ほんのりと温かさを感じた。
忘れるはずがない。
確かにそれは、昔感じた大木の生命力そのものだった。
何軒もの家が押し潰され、地面には亀裂が入っているところもある。
「みんな大丈夫だったの?」
隣に立つ母さんに訊ねた。
「あんな地震初めてだからどうなるかと思ったけどね。幸いにもケガ人だけ。ただ……」
母さんはそう言うと視線を村の奥の方へと向けた。
「あれ?」
俺はやっと気づいた。
木がなくなっていたのだ。
俺や母さん、そして村長が生まれるよりもずっと前からある大木。
「まさか今回の地震で倒れちゃったの?」
母さんは悲しそうな表情で頷いた。
「でもね、悪いことばかりじゃないのよ。ほら、気づかない?」
母さんは周りを見渡す仕草をした。
そういえば初めて見るベンチがいくつも置いてある。
「座ってみて」
促されるまま座って手をついてみると、ほんのりと温かさを感じた。
忘れるはずがない。
確かにそれは、昔感じた大木の生命力そのものだった。
その他
公開:20/07/05 19:59
スクー
温度のあるベンチ
ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。
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