ミニ・ブラックホール

「長年の夢だったミニ・ブラックホールをついに完成させた」
「おお……ついにか。やったな！」
「ああ、これで俺を蔑んでいた同窓の奴らも、嘲笑した教授たちにも、こき下ろして俺を振った先輩にも、一泡食わせられる」
「それどころか、そいつらまとめて、ミニ・ブラックホールに落とせるんじゃないか？」
「はは、お前も大概悪い奴だな。だが、もし入れるてやるなら、第一号はもう決まってるんだ」
「へえ、どいつだよ。まさか元カノか？やめとけ、いくらこっぴどくフラれたからって、それやるとお前を見るときのニュースカテゴリが変わっちまう」
「いや違う」
「研究費用を減らしたお役人か？」
「いや違う」
「嫌がらせしてきた反ブラックホール団体の職員か？」
「いや違う」
「ま、まさか……親友の俺か？」
「いや、違う」
「それじゃ、いったい……？」
「俺の個人情報晒して謝りもしない昼のコメンテーターだ」