川相さん

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「高木君。悪いけど、これやっといて」
川相さんはそう言って僕に仕事を回してきた。
「…わかりました…」
僕はそれを渋々受け取る。
「ありがとね」
川相さんは窓際の席に戻るとスマホをいじり始めた。
(スマホいじる前に自分で仕事片付けろよ!)
そう言いたいが新入社員の僕ではベテラン社員の川相さんに文句をつける事が出来ない。
「横山君。悪いけど、この取引先、僕の代わりに行っといて」
同期の横山は嫌な顔を浮かべ、渋々営業に出た。
(何なんだよ川相!そんなんだから万年平社員なんだよ!)
苛立ちながらも僕は川相さんから回された仕事を片付けていく。
(見てろよ川相!いつか絶対、お前をクビにしてやるからな!)

10年後、僕は経理部部長に昇進し、横山は営業部部長に昇進していた。
これも全て川相さんのおかげだ。
知らなかったよ。あの人が社員の特性を見抜きその人に合った仕事を回すプロ、バント職人だったなんて。
公開:20/07/02 19:19
元ネタ・バントの神様、川相昌弘

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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