真夜中のコンビニ

意外かもしれないがファンタジーの世界にもコンビニは存在する。
外を巡回するモンスター達は今日も軽い財布の中身に溜息を吐き、薬草を購入していく。
弱さ故に僻地・最初の町に飛ばされた以上、もう本社には戻れないと嘆いている。
OL達は毒消し草茶を購入してはデトックス効果を期待する。この人の心の汚れに聖水効かないかなぁ…なんていつも思っている。
２４時間営業の店なので勿論、夜もお客様はやって来る。
真夜中、人が少なくなってきたところで勇者様がやって来た。人の家のタンスを勝手に漁る大悪党。今日も店内をきょろきょろしながら歩いている。
私はそこに不穏なものを感じた。だから勇者様がそれに手を伸ばした瞬間、その腕を掴んだ。
「勇者様のレベル（年齢）ではその本はまだお買い求めになれません」
成人指定本に釘付けだった目が途端に潤んでいく。勇者様は真っ赤な顔で逃げ出した。
初々しくはあるがこれもルールだからね。