SNSワンダーランド

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「今度はどこにきちゃったの?」
アリスはまた迷い込んだ。モニター画面を覗き込んだとたんに、向こう側に落ちた。

その広場では、花火が打ちあがり、お祭り騒ぎだ。夜か昼かもわからないが、数え切れない人の波。独り言をいう者がいたかと思うと、あちらではおしゃべりや小競り合い。どこかで盛大な火柱がゴオッと立つと「それっ!」と歓声をあげてそちらへ走り出す一団もあった。

だいぶ時間が過ぎたが、誰も帰ろうともしない。人々が発するあらゆる言葉、色とりどりの絵やらが、ドウドウと広場添いを流れる巨大な川に放り込まれていった。熱狂的に流行ったものが、直後には誰も記憶にないらしい。そのおかげで、人々はお祭りを延々と続けられるのだ。皆の顔は高揚し、酔ってるようだ。

アリスは気づいた。こんなに言葉が溢れているのに音として聞こえていないことに。無音の世界。頭の中では言葉が呪文のように鳴り響く。どこが出口なんだろう。
ファンタジー
公開:20/07/03 21:01

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