悲しみを乗り越えて

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「どうしてだ……?どうしてだー!うわーーー!!!」
僕は頭を抱え、狂ったように走った。
でもすぐ我に返った。
駅の駐輪場に自転車を置いていたのだが戻ると、
「嘘だろ?」
籠にゴミが入っていたのだ……。
コンビ二袋に入った紅茶の紙パックとストロー。
僕の大切な自転車は、高校生の妹からの就職祝いだ。
勉強が忙しくても、アルバイトも一生懸命にやっていて、僕の就職が決まった時、
「お兄ちゃんに自転車買ってあげる」
「ありがとう。でも何で自転車?」
「お兄ちゃんの健康を考えて。会社まで自転車でも行ける距離でしょ」
そんな優しい妹が買ってくれた自転車にゴミを入れられ、僕は気分が悪くなった。
でもそのことを妹に言うつもりはない。
妹に話したら、悲しい思いをさせてしまう。
僕はイライラを我慢し、入れられたゴミを代わりに捨てた。
こんな思いをするのは僕だけで十分だ!
ねえ、やめようよ、こういうこと。
その他
公開:20/07/01 21:02

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