ポイ捨てしたもの
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「ねえ君、これ落としたよ」
振り返ると満面の笑みをたたえた男が立っていた。二十代後半といったところか。新手のナンパかと思ったが、手に持っている“何か”が気になり、首を傾げながら相手の言葉を待った。
「ほら、さっきあそこの植え込みにこの紙容器を捨てたでしょ」
「それがどうしたの? 拾ったならあげるよ」
あたしはイラついて男を睨みながら言う。
「ああ、そうなんだ? もったいないなあ。せっかく若くて美人だったのに」
やっぱり新手のナンパかとあたしは思った。
「で? どうせならあんたが捨ててくれればいいのに。じゃ、忙しいからこれで」
と言い放ち、その場をあとにしようとした瞬間、たちまち男があたしの前に来て言った。
「この鏡を観てごらん。これが今の君だよ。さっき君はポイ捨てした時に、羞恥心といっしょに君の若さと魅力も捨てちゃったのさ。実にもったいない」
鏡の中には醜い老婆がいた。
振り返ると満面の笑みをたたえた男が立っていた。二十代後半といったところか。新手のナンパかと思ったが、手に持っている“何か”が気になり、首を傾げながら相手の言葉を待った。
「ほら、さっきあそこの植え込みにこの紙容器を捨てたでしょ」
「それがどうしたの? 拾ったならあげるよ」
あたしはイラついて男を睨みながら言う。
「ああ、そうなんだ? もったいないなあ。せっかく若くて美人だったのに」
やっぱり新手のナンパかとあたしは思った。
「で? どうせならあんたが捨ててくれればいいのに。じゃ、忙しいからこれで」
と言い放ち、その場をあとにしようとした瞬間、たちまち男があたしの前に来て言った。
「この鏡を観てごらん。これが今の君だよ。さっき君はポイ捨てした時に、羞恥心といっしょに君の若さと魅力も捨てちゃったのさ。実にもったいない」
鏡の中には醜い老婆がいた。
ファンタジー
公開:20/07/01 18:42
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残念な人っているよね
誰が見てるかわからない
天網恢恢疎にして漏らさず
オオカミの自信作
武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。
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